中古車販売ブランドの構築
自社系列販売拠点におけるブランド強化策としては、認定中古車をはじめとした品質認定済中古車の設定、保証商品の拡充、拠点ブランドの確立が挙げられる。
認定中古車は点検箇所を多くするなど検査基準を厳しく設け、特定部品の交換等を行なった小売用車両に対してメーカーがお墨付きを与えるものである。メーカーブランドが大きく影響を与えるため、ブランド力により安心感を持つ購入ユーザーに対しては、中古車販売専業店と差別化が行なえるものである。その他、独自の基準を満たした車両に対して、トヨタ自動車では“T-Value”、日産自動車では“バリュープラス”など、独自のブランド名を付与された品質認定済中古車も存在する。
保証商品はエンジンやトランスミッションといった基幹部品を主に対象とし、一定期間内の修理保証を行うものが一般的となっている。通常1 年程度の保証期間であるが、ユーザーの希望によっては有料で期間が延長できるようになっている。中古車販売専業店においては独自で開発、もしくは買特典15に代表される保証商品を外部から購入することでユーザーに保証を提供しているが、メーカーにおける中古車保証商品は損害保険会社とのタイアップにより成されているものが多い。
中古車の低年式化と過走行化が進む中、メーカー各社は認定中古車や保証商品の設定についても、その対象を拡げるための取組みを進めている。具体的には、年式や走行距離、販売価格といった車両状態に見合った柔軟な保証商品の拡充などが挙げられる。拠点については多様なユーザーをより多く取り込むことと、大型中古車販売店との規模的格差をなくすことを目的として、2007 年頃までは展示台数数百台規模の大型中古車小売拠点の整備を進めるメーカーが散見された。これら大型中古車小売拠点はトヨタ自動車では“カーロッツ”、日産自動車では“カレスト”といった独自の名称を冠することで、グループ内における他の中古車小売拠点との差別化が図られる傾向にあったが、現在は大型中古車小売拠点を積極的に整備するメーカーは少なく、拠点展開の見直しを行う段階に入っている。